おはようございます!藤松です!!
昨日夜に雨が降っていたせいか、今朝、自転車のサドルに氷がびっしりと付いていました。物理的な寒さに加え、精神的な寒さも感じ、そっと出勤を止めました・・・。
そう、今日はお休みなんです(笑)
さて、先日大学病院前の薬局にて、こんな事例が舞い込みました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
患者様:妊娠(出産予定日まで現時点から15週)
バイアスピリン 100㎎ 1錠 30日分
ヘパリン注 30本
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・ん!?バイアスピリンは、出産12週以内の服用は禁忌だよな??」
30日分のバイアスピリンを服用すると出産予定日から12週以内まで服用することになり、禁忌に引っかかります。
実は、婦人科系の使用方法で、出産12週以内の場合も服用を続けるケースがあります!しかし、禁忌にあたるのは間違いないので、早速病院へと疑義紹介いたしました。
●バイアスピリンは出産12週以内の服用は禁忌!
まず簡単にですが、バイアスピリンの禁忌理由や患者様の症状背景について説明いたします。
バイアスピリンは、添付文章に記載されている服用方法としては、出産12週以内の服用は禁忌と記載がございます。
これは、バイアスピリンが抗血栓薬(血をサラサラにする薬)のため、出産時に出血過多になってしまうリスクや、妊娠期間の延長を引き起こす可能性があるということで、12週以内の服用は禁止となっております。
この患者様ですが、バイアスピリンの他にヘパリンも投与されておりますので、状態としては「不育症」のために薬剤を使用していると考えられます。
不育症は様々な理由から流産・死産を繰り返してしまう症状を指し、上記2種類の薬が投与されているのということは血栓が出来やすいという理由での使用となります。
※血栓が出来やすい補足になります。ちょっと専門的です・・・↓
抗リン脂質抗体という自己免疫疾患によるもの、血栓予防タンパクのプロテインS・プロテインCの低下、血液凝固カスケード第Ⅻ因子の低下により、血栓が出来やすいとされております。
以上、簡単な説明でした!
さて、疑義紹介に行ってみたいとおもいます!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私:「すいません。○○様の処方内容について疑義紹介をお願いします。バイアスピリンが30日分で処方されておりますが、服用続けると出産12週以内まで引っかかってしまいます。取り消しもしくは、このままご処方で良いか、確認をお願いいたします。」
病院の方:「はいはい、少々お待ちください・・・・。はい、今回のバイアスピリンはそのまま処方ください。」
私:「禁忌になっておりますが、今回のケースではそのままのご処方で宜しいということですね?」
病院の方:「はい。バイアスピリンですが、産婦人科学会で妊娠35週までは服用しても問題ないとの見解がございます。ですので、今回はそのままお願いいたします。」
私:「かしこまりました。ありがとうございました。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バイアスピリンですが、不育症の患者様で妊娠35週(出産5週以内)までは服用しても問題ないという認識なのです。
ちなみに、産婦人科学会の見解によるものという事実は初めて知りました(^^;)
ですので、今回はバイアスピリンを投薬しても、妊娠35週には引っかからないので、このまま投与しても大丈夫ということになります。
もちろん今回の様な処方を受けて、実は意図せず処方していた可能性もございますから、このような処方を見つけた場合は必ず疑義紹介をして下さいね(-_-;)
一般的な使用方法と、専門的立場からの見解が異なるケースは様々ございますから、日々勉強を重ねなければなと認識される事例でした。
では!今回はこのあたりで終わりにしたいと思います!また次回、お会いしましょう!!