普段の業務で何気なく押印している「調剤印」ですが、この前別の薬局の薬剤師の人から「調剤印って薬を渡した後に押すものなんですか?それとも薬を調剤した時点で押すものなんですか?」という質問を投げかけられました。
どうやら、派遣でやってきた薬剤師からそのような質問を投げられてたようです。
ネットで探してみても「調剤済みの印鑑はいつ押すのか?」ということをまとめているページがなかったので、今回はそのことについてまとめたいと思います!!
調剤印を押すタイミングですが、薬局の内規により独特の解釈が出来上がっているケースが見られます。
そもそも「調剤」とは何なのか。
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医師、歯科医師から発行された処方せんに指示されている内容が適正であると確認した後、指示されている医薬品を使用して患者の疾患の治療のための薬剤を指示された使用法に適合するように調製し、患者に医師の指示どおり正しく使用するように指導しながら交付するとともに、服用後の有効性と安全性を観察して医師と連絡を取りながら処方の修正など適切な措置を行うこと
[調剤指針より抜粋]
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~つまり、「調剤」というものは処方箋を患者様から預かり薬を渡すまでの一連の流れを指すということになります。
ここで、最初の質問の文章に注目してみてください。
「調剤印って薬を渡した後に押すものなんですか?それとも薬を調剤した時点で押すものなんですか?」
違和感にお気づきでしょうか?
この質問の文章が矛盾をはびこらせてしまっている、最大の理由なんです。
この質問されている方は、「調剤」という単語を「処方箋に記載の薬を作成すること」という部分にのみ「調剤」という単語を適用しているのです。
狭義の意味合いでは「調剤=処方箋通りに薬を作成すること」として使われるので間違いではないのですが、こと保険調剤の「調剤」という意味では処方箋を頂き処方鑑査を行うところから、患者様への投薬(薬を渡す)までが「調剤」として使われています。
ですので、「調剤済み」の印鑑を押印するタイミングとしては、患者様へ薬を投薬完了し押印するのが正解となります。
「調剤する」という動詞としての意味合いが、処方箋通りに薬を作成するということとして捉えられがちなのが、今回のような質問を産み出してしまったのでしょうね・・・。
ちなみにFAXで処方箋をお預かりしたときですが、「調剤」はあくまで処方箋原本で行うことが原則となっているので、処方箋原本を患者様から預かった時点での日が「調剤済み」としての日付になりますのでご注意ください。
なので、FAXを頂いたとはいえ処方箋の期限以内に処方箋の原本を薬局へ持って来て頂く必要がございますので、ご注意ください。
~参考図書~
・失敗しない保険調剤 大阪府薬剤師会監修
・調剤指針 第13改訂 日本薬剤師会 著
・保険薬局業務指針〈2012年版〉 薬事日報社
では!今回はこのあたりで終わりにしたいと思います!!また次回お会いしましょう!!