こんばんは。薬剤師兼広報担当者、藤松です。
さて、今回は薬と絡めたお話をさせて頂こうと考えておりまして、季節柄風邪が多いので、それを話題に書かせて頂こうと思います。
これは、実際に、本日起きた話が元になっております。
冬場になると、気温が低下し、空気が乾燥することでウイルスが活発になるので、この時期が風邪に罹りやすくなります。
そう、風邪の原因菌は、「細菌」では無く、「ウイルス」が大半になります。
※実際、約9割の風邪がウイルス性であり、残り1割が細菌由来の風邪と言われています。
風邪を引き病院へ受診されると、よく処方されるのが
・抗生剤
・総合感冒薬
・解熱鎮痛剤
・咳止め、痰きり、etc...
といった処方がよく見受けられます。
ただ、どれも風邪を直接治す薬ではありません!あくまで、体調の悪化を緩和し、自己免疫でウイルスをやっつけていくのが、風邪の改善方法になります。
では、薬なんて飲まなくても良いのではないかと考える方もいるでしょう。
否!風邪の症状が原因で、合併症を引き起こしてしまうことがたくさんあります。
肺炎(肺)、髄膜炎(髄膜)、中耳炎(耳)、結膜炎(目)、副鼻腔炎(鼻)・・・といった具合に、場所も様々に飛び火する可能性があります。
さて、本日朝一に、薬局の電話が鳴りました。
「はい。○○薬局、藤松です。」
「先日そちらに罹った××です。実はこの前の薬を服用したら汗が全く出なくなり熱が39度まで上がってしまったので、副作用と疑って服用を中止しました。今は熱は落ち着いているのですが、咳が酷くなっていまして・・・。これも薬の副作用なのでしょうか?」
こちらの患者様に処方されていた薬は、ごく一般的な風邪に対する処方でした。
ここで私は、副作用と、ある合併症の可能性が浮かび上がりました。
まず、副作用に関してになります。
この患者様には、「PL配合顆粒」という総合感冒薬が処方されておりました。
こちらの薬には抗ヒスタミン薬と呼ばれる成分が入っており、この成分の副作用に、抗コリン作用というもがあります。
この副作用では、よく起きるのが眠気や口の渇きといったものが患者様からお話がありますが、「発汗を抑える」という副作用もあります。
このため、抗コリン作用を持つ薬剤を服用するときは、高温多湿下で作業する方は、発汗抑制による熱中症状に陥る事があるので、避けるべきであるとされています。
※ちなみに、この副作用を利用して、発汗を抑えるために抗薬コリン薬を服用することもあります。
次に、合併症の疑いになります。
まず、熱が39度まで出たということなので、インフルエンザの可能性があります。
また、咳が酷いというところが気になり、どのような咳なのか伺うと、ヒューヒューと気管の部分が鳴っているような咳と話がありました。
発熱と特徴的な咳の様子があったので、「これは肺炎の可能性がある!」と思い、すぐに病院へ受診するように促しました。
その後、本日午後に近くの病院を受診された、その後薬局に寄って頂きました。
血液検査とレントゲンの結果から肺炎と診断され、大学病院へと紹介になったと話されておりました・・・。
以上が、本日起きた風邪にまつわる怖い話になります。
この方は、自己判断で薬を中止し、熱や咳が酷くなっても受診しなかったことで、結果的に肺炎となってしまいました。
不幸中の幸いで、今回は発見が早かったので大事には至らなかったようですが、肺炎は悪化していれば入院となる、大変大きな病気です。
風邪は万病の元という言葉もあるように、甘く見てしまうと取り返しがつかなくなることもある病気ですので、皆様くれぐれも注意して下さい。
それでは、この当たりで今回はペンを置きたいと思います。
長文お読みいただき、ありがとうございました。
次回は、これまた最近流行っている「ノロウイルス」について書かせて頂こうと考えております。では、次回お会いしましょう。